ステラミニトマト (ミニトマト)
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やながわ里山農園のステラミニトマト (ミニトマト)
固定種のミニトマトです。
ステラミニトマトは、1992年に京都府京都市の種苗メーカーである株式会社タカヤマシードが発表した品種で、ミニトマトにおいては、あまり固定種がなくF1品種が多いため、ステラミニトマトは貴重な固定種です。
原産は南米。トマト自体がペルーやエクアドルといった南アメリカのアンデス山脈の地域と言われています。
品種の特徴としては、完熟しても裂果が少なく、甘くて美味しいという事、1玉15gほどの小さすぎず、中玉ほど大きくないというサイズ感である事です。
開発したタカヤマシードのウェブサイトにも以下のように紹介されています。
果色は赤。果形は豊円形で肉厚く果重平均は15g位。完熟しても裂果少なく、糖度8以上で甘味が高い。
出典 : 「ステラミニトマト」(株式会社タカヤマシード)
農文協の子供向け雑誌「のらのら」でも、中学3年生のときに伝統野菜を主とする種苗販売会社を立ち上げた小林宙さん(当時13歳)が、ステラミニトマトが甘くて美味しかったと紹介しています。
これまでそだてたミニトマトのなかで、いちばん甘くておいしかった品種です。たくさん出るわき芽を、実がつきはじめるまで摘んで、あとはほったらかしでもたくさん実がつきました。
出典 : 「のらのら 2017年3月号 タネ少年おすすめタネ」(農山漁村文化協会)
味について
ステラはSTELLAと書きますが、イタリア語で星を意味します。 サンマルツァーノトマトもそうですが、イタリアにはトマトに密着した食文化があるようですね。
ステラは、甘すぎず、酸っぱすぎず、味のバランスの良いトマトです。
ただし、いわゆる甘いトマト、糖度の高いトマトを求めている方には向かないかもしれません。
程よい酸味があるので、生でも加熱しても活躍するオールラウンドプレーヤーです。
そのままおやつ感覚で食べても、手軽にサラダにしても、炒め物やスープの味付けにも合います。
フルーツトマトは個人的には料理(加熱調理)には向かないと思います。 なので、ステラはあらゆる料理で使い勝手抜群です。
酸味を極力抑えたトマトがお好みの方は、「ラウンドレッド」の方が合うかもしれません。
ちなみに、ミニトマト全般に言えますが青臭さが少ないため、トマト嫌いな方でも美味しく召し上がれるのではと思います。 トマト嫌いは、まずはミニトマトから。
生育の特徴
特徴として裂果が少ない品種とされています。
当園では露地栽培で育てていますが、裂果は出るものの、軒並み割れるという事はありませんでした。
また、地力の低い土地でも育ちやすいように思います。
ちなみに2022年度はアブラムシは一切つかなかったのですが、カメムシやタバコガの幼虫の被害が顕著でした。
2022年度は育苗を行い、第一果房の開花時期に定植を行いました。
育苗期は、気温が低い日や雨天時は6~7月でも不織布で被覆していましたが、被覆をすると曇天であっても、成長の速度が顕著に増しました。
光合成も大事ですが、生育温度によって成長速度が顕著に変わるという事を実感しました。
ちなみに、この品種とはあまり関係ありませんが、露地栽培はやはり天候に左右されることもあり、雨天が続くと旨さの濃さが薄くなる印象を受けます。
品種名 | ステラミニトマト |
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目 | ナス目 |
科 | ナス科 |
種 | トマト |
種の原産 | 南米ペルーのアンデス高原 |
播種期 | 2~6月上旬 |
収穫期 | 5~11月上旬 |
*播種期などの情報は地域によって差異があります
*初春の栽培にはトンネルやハウス等の温度管理が必要
栄養素
トマトにはビタミン類やミネラル類等が含まれており、西洋では「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、栄養のある作物として古くから親しまれてきました。
トマトで特によく耳にする栄養素はリコピン(リコペンとも)ではないでしょうか?
リコピンは、人参などに含まれる「カロテン」の一種で、抗酸化作用があると言われています。
そして、リコピンは加熱することで吸収率が2~3倍にもなるそうです。
また、リコピンは油に溶けやすい性質であり、油と合わせると吸収率も上がります。
日本では生食が多いトマトですが、加熱料理も美味しく、栄養を効率よく摂取できるのでオススメです。
もう1点、よく知られているのが旨味成分。
トマトには旨味成分であるアミノ酸の一種・グルタミン酸が豊富に含まれています。
この成分は魚介や肉類に含まれる旨味成分であるイノシン酸と合わせる事で相乗効果を発揮するとされています。
グルタミン酸はリラックス成分であるGABAを生成するとも言われているようです。
食べ方・レシピ
ステラミニトマトは、青臭さや酸味が少なく、果皮も厚くないため、生食でも美味しく召し上がれる品種です。
そのままでも、ほかの野菜と合わせてサラダにしても美味しくいただけます。
前述の通り、油と合わせると栄養の吸収率が上がるとされています。
トマトとモッツァレラチーズとオリーブオイル、そしてバジルを合わせた料理に「カプレーゼ」がありますが、これは美味しいだけではなく、栄養吸収の面でも理にかなった料理のようです。
生食での当園のオススメは、冷蔵庫で冷やしたトマトに、塩とオリーブオイルを垂らしただけのサラダです。
シンプルですがトマト本来の味を引き出してくれる料理で、この品種だけではなく、すべてのトマトでオススメです。しかも簡単、時短!
お好みで、バジルや胡椒で和えても美味しいです。
一方で、ステラミニトマトに限らず、トマトは加熱料理にも適した素材です。
加熱することでリコピンの吸収率も高まります。
カレーやパスタ、スープなどに、トマトをぜひご利用ください。
ちなみに、加熱することでより美味しさがアップする調理専用品種というものもあるんです。
「サンマルツァーノ」等、イタリア産の品種に多いようですね。
私もベランダ菜園で「サンマルツァーノ」を育てたことがあるのですが、生食は正直そこまで「美味い!」というわけではなかったのですが、トマトソースを作ったところ、旨味と酸味が際立つとても美味しいソースができました。
加熱調理専用の品種は、今後、当園でも取り組みたいと考えています。
保存方法
1~3日程度であれば常温でも大丈夫ですが、基本的には冷蔵庫・野菜室で保存してください。
すぐに食べないようでしたら、雑菌の繁殖の原因となるためヘタは取っておいてください。
上述のように、漬物・ピクルスにすると日持ちします。
また、加熱調理に使う場合は、ヘタを取って冷凍保存もオススメです。
トマトのヘタの有無について
一般的に日本で販売されているトマトは、サイズの大小にかかわらず、ヘタ付きのまま販売されています。
ヘタ無しトマトは「規格外」として扱われる事が多く、価格が低くなることがほとんどです。
一方で、鮮度の観点では、ヘタ無しの方がカビの発生率や呼吸量が少なく、水分含有量においては、ヘタ有りと同等かそれ以上になるという実験結果もあり、ヘタ無しの方が貯蔵性に優れているようです。
市販されているトマトにヘタがついていないからと言って、それが必ずしも「B品である」「味が劣っている」という事にはなりません。
また、サンマルツァーノなどのイタリア原産の品種においては、ヘタが取れやすく、ヘタ無しで販売されるのが当たり前のものもあります。
「ヘタが取れてること」が「品質の悪さ」に結びつくというわけではありませんので、ご理解いただければ嬉しいです。
明治大学農学部で、ヘタの有無とカビの発生に関する試験を行ったようで、その結果が現代農業で紹介されていました。
ミニトマトの25℃貯蔵では、ヘタなしがヘタありに比べて貯蔵性に優れることがわかりました。
出典 : 『現代農業』2020年9月号(一般社団法人農山漁村文化協会)
参考文献
「トマト好きのトマトの食べ方」(ポプラ社)
うま味成分グルタミン酸 | レンジdeベジタブル
「トマトが赤くなると医者が青くなる」理由 栄養を効率良くいただく3つのコツ(Hint-Pot) - Yahoo!ニュース
オススメは朝or夜?トマトの栄養リコピンを効率良く摂る方法|カゴメ株式会社