セレブスイートトマト (中玉トマト)
目次
セレブスイートトマトとは
甘いトマトの総称にフルーツトマトという名前がありますが、セレブスイートトマトにぴったりな名前です。
この品種は酸味もありますが、その程度は微かで、それが甘さを際立たせてくれます。
もちろん個体差があるのですが、程よい酸味と奥行きのある甘さ、そして青臭さやえぐみのない、後味のすっきりさはこのトマトの特徴です。
私もはじめて食べた時、その味に感動しました。
一口にトマトと言っても様々な品種や生産地によって様々な特徴がありますが、このトマトは「生で食べてほしいトマトです」と、お客様にお伝えしています。
後述しますが、冷やしたセレブスイートに、オリーブオイルと塩のみで召し上がって頂きたいです。
この品種は、当園の地域の気候なのか、土壌なのか、あるいは農法なのか、まだ原因がはっきりと解明できていないのですが、旺盛に育つように栽培するのが難しいトマトです。
その分やはり、手間がかかります。
ただ、手間をかけた分、そのまま食べて美味しいフルーツのように、生食が非常に美味しいのは間違いありません。
ぜひ一度、皆様に食べて頂きたいトマトです。
品種名 | セレブスイート |
目 | ナス目 |
科 | ナス科 |
種 | トマト |
種の原産 | 南米ペルーのアンデス高原 |
播種期 | 2~6月上旬 |
収穫期 | 5~11月上旬 |
*播種期などの情報は地域によって差異があります
*初春の栽培にはトンネルやハウス等の温度管理が必要
生育の特徴
セレブスイートトマトは大食漢なトマトです。
その理由は、他のトマトに比べて肥料(窒素)を欲する量が多いように感じるからです。
当園では、セレブスイートに加えて、いくつかの品種のトマトを栽培していますが、セレブスイートは同一環境で苗を育てても、葉が黄色くなる事が多いです。
定植すると回復するのですが、やはり栄養素が足りないと他の品種より生育が芳しくないようです。
他の品種は、主に固定種や自家採種ですが、無肥料でもきちんと育ちます(もちろん収穫量は肥料を与える場合に比べて減りますが)。
土壌の影響もあるとは思うので一概に言えませんが、セレブスイートは痩せた土地では他の品種に比べてより育ちにくい品種だと感じます。
なお、当園では有機肥料を利用する場合は、菜種油かすと米ぬかを利用しています。
また、農園の除草で出た雑草を利用した堆肥も利用しています。
栄養素
トマトにはビタミン類やミネラル類等が含まれており、西洋では「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、栄養のある作物として古くから親しまれてきました。
トマトで特によく耳にする栄養素はリコピン(リコペンとも)ではないでしょうか?
リコピンは、人参などに含まれる「カロテン」の一種で、抗酸化作用があると言われています。
そして、リコピンは加熱することで吸収率が2~3倍にもなるそうです。
また、リコピンは油に溶けやすい性質であり、油と合わせると吸収率も上がります。
日本では生食が多いトマトですが、加熱料理も美味しく、栄養を効率よく摂取できるのでオススメです。
ただ…、このトマトは基本的に生食でお召し上がりください(食べ方の項も参照ください)。
もう1点、よく知られているのが旨味成分。
トマトには旨味成分であるアミノ酸の一種・グルタミン酸が豊富に含まれています。
この成分は魚介や肉類に含まれる旨味成分であるイノシン酸と合わせる事で相乗効果を発揮するとされています。
グルタミン酸はリラックス成分であるGABAを生成するとも言われているようです。
食べ方・レシピ
セレブスイートは、まずは是非、生でお召し上がりください。
トマトによっては加熱で美味しさが際立つものもありますが、このトマトは生食がベストです。
生食の場合のオススメは、冷蔵庫などで冷やしたセレブスイートに、塩とオリーブオイルを垂らしただけのサラダです。
トマトの旨味を引き出してくれる最強の組み合わせです。
スライスしてサンドイッチの具にしたり、生ハムとチーズなどでサラダにしても美味しいです。
塩味や酸味のある食材・調味料と合わせると、セレブスイートの旨味を最大限に引き出せます。
当園のご近所の農家さんからは、湯むきしたトマトを酢漬けにする(ピクルスの要領だそう)のもオススメと教えて頂きましたので、そちらも今後試してみたいと思います。
所感は追って公開致しますのでお楽しみに。
酢漬け、浅漬け、ジュレは、なじみがない方も多いかもしれませんが、トマトとの相性が良く、そして暑い季節にぴったりなんです。 日持ちするというのも嬉しいポイント。
少しづつ、レシピのページも作っていきたいと考えていますので、詳しくはそちらで(まだ手が回っていませんが…)。
保存方法
1~3日程度であれば常温でも大丈夫ですが、基本的には冷蔵庫・野菜室で保存してください。
すぐに食べないようでしたら、雑菌の繁殖の原因となるためヘタは取っておいてください。
上述のように、漬物・ピクルスにすると日持ちします。
また、加熱調理に使う場合は、ヘタを取って冷凍保存もオススメです。
トマトのヘタの有無について
一般的に日本で販売されているトマトは、サイズの大小にかかわらず、ヘタ付きのまま販売されています。
ヘタ無しトマトは「規格外」として扱われる事が多く、価格が低くなることがほとんどです。
一方で、鮮度の観点では、ヘタ無しの方がカビの発生率や呼吸量が少なく、水分含有量においては、ヘタ有りと同等かそれ以上になるという実験結果もあり、ヘタ無しの方が貯蔵性に優れているようです。
市販されているトマトにヘタがついていないからと言って、それが必ずしも「B品である」「味が劣っている」という事にはなりません。
また、サンマルツァーノなどのイタリア原産の品種においては、ヘタが取れやすく、ヘタ無しで販売されるのが当たり前のものもあります。
「ヘタが取れてること」が「品質の悪さ」に結びつくというわけではありませんので、ご理解いただければ嬉しいです。
明治大学農学部で、ヘタの有無とカビの発生に関する試験を行ったようで、その結果が現代農業で紹介されていました。
ミニトマトの25℃貯蔵では、ヘタなしがヘタありに比べて貯蔵性に優れることがわかりました。
出典 : 『現代農業』2020年9月号(一般社団法人農山漁村文化協会)
参考文献
「トマト好きのトマトの食べ方」(ポプラ社)
うま味成分グルタミン酸 | レンジdeベジタブル
「トマトが赤くなると医者が青くなる」理由 栄養を効率良くいただく3つのコツ(Hint-Pot) - Yahoo!ニュース
オススメは朝or夜?トマトの栄養リコピンを効率良く摂る方法|カゴメ株式会社